Animomano アニーモマーノ

トップページ
2005年の
旅のコラムはこちら
2006年の
旅のコラムはこちら
2007年の
旅のコラムはこちら
2009年の
旅のコラムはこちら
2010年の
旅のコラムはこちら
2011年の
旅のコラムはこちら
2012年の
旅のコラムはこちら
2013年の
旅のコラムはこちら
2014年の
旅のコラムはこちら
2015年の
旅のコラムはこちら
2017年の
旅のコラムはこちら
2018年の
旅のコラムはこちら
▼2008年旅のコラム
45.ウンブリア州
  小さな旅-1
46.ウンブリア州
  小さな旅-2
47.ラツィオ州
  小さな旅-3
48.ウンブリア州
  小さな旅-4
49.ウンブリア州
  小さな旅-5
50.ウンブリア州
  小さな旅-6
51.ウンブリア州
  小さな旅-7

聖フランチェスコの精神が、いまだ受け継がれる町「アッシジ」
 アッシジを訪れたのは、今にも泣き出しそうなぶ厚い雲に被われた風の強い日だった。山のふもとからでも、ハッキリそれとわかるサン・フランチェスコ聖堂は、荘厳かつ重厚な佇まいでスバズィオ山の斜面に建っていた。
アッシジ1 言わずと知れたキリスト教の聖人“聖フランチェスコ”の生まれた町として、いまなお世界各国から、多くの人々が巡礼のためここアッシジを訪れる。私は杖をついた老人や車椅子の人々と何度となくすれ違った。
 曲がりくねった細い坂道、けして平坦ではない石畳の道を、一歩一歩踏みしめながらここを訪れる信仰心の厚い人々により、聖フランチェスコの謙遜と服従、愛と清貧の生き方、さらには人間と自然との共鳴の精神が受け継がれているような気がした。
 ジョット作「フランチェスコの生涯」などの、美術的価値が高いフレスコ画も数多くあるが、私のようなにわか信者が軽い気持ちで来るところではない、と思わせる重々しさと、張りつめた空気感が漂う厳かな教会だった。
 しかしおこがましいことを言うようだが、今回の旅はなぜか聖フランチェスコとはちょっとした“縁”を感じた。なぜならこれから2度・3度、彼は私の前に形を変え現れることとなる。と言ってもゆかりの品であったり、ブロンズ像としてだったりするのだが・・。
 もちろんこの一帯が聖フランチェスコの聖地だということを考慮したとしても、偶然のなせる業とも思える再会、再々会に、やはり“縁”を感じずにはいられない。その話はこれからのコルトーナとグッビオの「旅のひとりごと」でたっぷりと語りたいと思う。
 昼過ぎからとうとう泣き出した冷たい雨は、強い風と相まって横殴りとなり、傘が全く役に立たない状態だった。とりあえずBar(Cafe)に一時避難。冷えきった体を暖め、次は空いたお腹を満たすべく昼食を取る場所を探さなくっちゃ。ここはイタリア、シエスタ(お昼休み)になる前に店に入らないと食いっぱぐれてしまう。でもまたあの無情な冷たい雨の中に身をさらすのは・・とぐずぐずとそこから動けずにいた。
 そう言えば日本から持参したアッシジの資料に、感じの良いトラットリアが載っていた。地図を見ると20mも離れていない。さっきは雨の中を10分歩いただけで、顔と手足がちぎれてしまうかと思うくらい寒かったから、本当にラッキーだ!
アッシジ3 カッパに着替え、役立たずの傘を小脇に抱えて一目散で店へと駆け込んだ。店の入口近くのカウンターのイスに、一匹の小さな白い犬がちょこんと座って私を見ている。奥の方からカメリエーラ(ウェートレス)が出てきて、私に予約の有無を尋ねた。
 ふと予約帳らしき名前が一杯に書き込まれたノートが目に入った。「予約はしてないです。」彼女はちょっと悩んで「30分後だったらOKですよ。」爽やかな笑顔だった。たった20m走っただけで濡れ鼠になっていた私には、彼女が女神に思えた。そして女神の隣にちょこんと座り、つぶらな瞳で私を見つめるその小さな白い犬は、さながら幸せを呼ぶ招き犬。
 30分後、お世辞抜きで手頃でおいしい郷土料理と、心温まるサービスを受けることができた。店の名は「Trattoria Pallotta」(トラットリア パロッタ)。地元客にも人気の店なので、予約するのがベターのようだ。また訪れたい店のリストに加えたのは、言う間でもない。(続)


Copyright (C) 2018 Animomano, All rights reserved.