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▼2009年旅のコラム
52.ウンブリア州
  小さな旅-8
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  小さな旅-13

オオカミが導いた!?お茶目な聖フランチェスコとの再々会
 グッビオの町の東の外れにあるFUNIVA(ロープウェー)乗り場から、ドゥオーモヘと向かうまっすぐな道の途中で、ひとりのおじいさんに出会った。彼は道の真ん中に立って、遠くから歩いてくる私をずっと見ていた。やっと彼の表情が読み取れるくらいの所まで来た時、彼は何か話しかけたくてしょうがないのだと気が付いた。
 どうせ急ぐ旅ではない。「Buongiorno !」(こんにちは!)と挨拶すると、おじいさんは待ってましたとばかり「どこへ行くの?」とイタリア語で尋ねてきた。グッビオ1ドゥオーモだと答えると説明はなぜか英語。外国人の私に覚えたての英語を話したかったのか?「英語うまいですね!」とほめると満足気な表情になり、ほっとしたのかその後の世間話は全てイタリア語だった。
 私はその人懐っこいおじいさんと別れた後ドゥオーモを見学し、その後チェントロ(中心地)へと向かう細い坂道の途中で、これまたかなり人懐っこい一匹の猫に出会った。まるでマンガのマイケルみたいな薄茶色のしま猫だ。私の足に絡み付いて喉をならし離れない。
 その時坂道を上って来たご夫婦の奥さんの方が「かわいい猫!」と言いながら駆け寄って来た。私が少しイタリア語を話せると知ると、後から来た旦那さんが「ここは見たか?ここには行ったか?」とグッビオの見どころを熱く語りはじめた。地元の人らしい。グッビオ2
 グッビオは2度目ということもあり、だいたいの所は見て回ったつもりでいたが、旦那さんがしきりに「lupo(オオカミ)は見たか?あれは興味深いから絶対見た方がいい!」と何度もlupo、lupoを連発した。オオカミ?何のこと?といぶかしがる私に、きっとイタリア語のlupoの意味がわからないのだろうと、怖いオオカミのジェスチャーまでしてくれた。
 「Ho capito!」(わかった!)そんなに勧めてくれるのなら行ってみなくっちゃ!とそのオオカミに会いに行くことにしたのだが、オオカミがいる教会の名前を聞くのを忘れた。町の下の方、バス乗り場近くだったような・・。聞き漏らしたのだろうか?ただlupoばかりが耳に残っている。
グッビオ3 気を取り直し、チェントロ近くの土産物屋に入ってオオカミのいる教会はないかと尋ねた。私自身がどんなものかわかっていないから、「オオカミがいる教会はどこですか?」と聞かれた方も驚いたことだろう。でもこっちがまじめに質問しているから相手も真剣だ。店で売られているグッビオの写真集を取り出し、思い当たる教会を探してくれた。そして「きっとここよ!」教会の名前は『サン・フランチェスコ教会』。そこにオオカミがいる!?
 聖フランチェスコはイタリアの守護聖人のひとりだから、彼を祭った教会は多数存在する。しかもここウンブリア州のアッシジが生誕の地、この一帯は特に信仰が厚いことだろう。それでもまたしても偶然辿り着いたフランチェスコに、今は親しみさえ覚える。私はオオカミの正体を見極めるため、サン・フランチェスコ教会へと向かった。
グッビオ4 教会の中で必死にオオカミらしきものを探したが見当たらない。フレスコ画として描かれているのか?オブジェとして飾ってあるのか?ステンドグラスの絵柄かも?などといろいろ想像力を掻き立ててみたものの、さすがに力尽きた。肩を落とし教会から出たその時「あっ、lupo!」
 灯台下暗しとはこのことだ。教会脇の小さな芝生の上に、右手を高くあげ天を仰ぐ人物(フランチェスコ)の膝に、犬みたいにしなだれかかるオオカミ。なんだかお茶目なふたりのブロンズ像に、やっと会えた。
 ペルージャに戻って調べてみると、フランチェスコが人や家畜を襲うオオカミに、人間達との和睦を諭した逸話を見つけた。今回のウンブリアの小さな旅で、おこがましくも幾度となく聖フランチェスコとの“縁”を感じてきたが、彼の偉大さには今さらながら敬服する。彼の精神が世界の人々に息づくことを切に願う。そしてまたいつかあなたに会えることを願っている。(終)


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