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至福の時!! クレモナで聞くバイオリンの音色
クレモナ1 昨年の3月、私は念願のクレモナの町を訪ねることができた。この町は言わずと知れたバイオリンの町。16〜18世紀に名器ストラディヴァリウスやアマティを生んだ町だ。ミラノの中央駅もしくはLambrate駅からマントヴァ行きの電車で約70分。赤レンガ色の建物が印象的かつ穏やかな佇まいの美しい町クレモナには、今も中世の面影が色濃く残っている。
 コムーネ広場には町のシンボル高さ111mの鐘楼Torrazzo(トラツォ/塔)がひときわ荘厳にそびえ、その姿はとても凛々しくて重厚なのだが、赤レンガ色と上部に施された丸形の白い大理石の装飾、そして隣接するロマネスク・ロンバルディア様式のドゥオーモと相まって、私にはどことなく女性的に思えた。クレモナ2
 コムーネ広場の周辺には、今なお数多くのバイオリンの工房が点在している。私はたくさんのバイオリンがぶら下がった、広場近くの工房のひとつを窓の外から覗き込んだ。見回すと部屋中そこかしこに音楽関係の物が置いてある。まさにバイオリン工房ならではの独特の雰囲気だ。
 これは写真を撮るっきゃない!と窓の外からカメラを構えた途端、バイオリンを持った人が入って来た。すると手に持ったバイオリンの調律だろうか?彼はバイオリンを奏で始めた。私は思わず「ラッキー!」と心の中で叫んだ。そしてしばし至福の時を得た。
 さあ改めて写真を撮ろうとカメラを構えた時、バイオリンの彼と目が合った。私は窓の外からジェスチャーで「写真をとってもいい?」彼は笑ってOKをくれた。その後もしばらくバイオリンの演奏は続き、カメラに動画機能がついているのを思い出した私は、クレモナ3数十秒だが彼の弾くバイオリンの音色を残すことが出来た。バイオリンの町クレモナで聞くその切ない音色に、心洗われる思いだった。ただ、カメラを持って窓枠にへばりついていた私が、道行く人々にどんな風に映ったかは・・・。
 遅めのお昼にチーズ入りピアディーナ(ロマーニャ地方特産のピッツァのように丸く焼いた薄いパンにチーズやお肉などを挟んだもの)を食べながら、さっきのバイオリンの調べの余韻を楽しんだ。コムーネ広場では日本の遠足みたいなものだろう、先生に引率されたたくさんの子供達がわいわいはしゃぎながら思い思いに写真撮影をしていた。クレモナ4子供達の屈託のなさはどこの国も変わらないんだなと思うと、微笑ましかった。
 私は駅に戻りがてらストラディヴァリアーノ博物館へと向かった。この博物館にはクレモナ独自のバイオリン作りの歴史とその工程を実物で再現したもの、それにストラディヴァリが自筆で記したデザイン画や使用していた道具類も展示されていて興味深かった。クレモナ5
 たぶんストラディヴァリがいた頃の輝かしい時代と比べると、今のクレモナはさびれていると言っても過言ではないだろう。なぜなら町を散策している間、貸家になっている店舗を数多く目にしたからだ。でも名器ストラディヴァリウスがこの世に存在する限り、その音色を愛する人々が存在する限り、そして今まで培って来た歴史と伝統を残そうとする人々がいる限り、この町はいつまでもバイオリンの町として生き続けることだろう。
 この町のなんとも言えないしっとりとした空気感は、私の心の中に記憶としてしっかりと刻み込まれ、ぜひまた訪れたい町のひとつとなった。


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