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▼2011年旅のコラム
62.小さな出会い-1
  ミラノ駅
63.小さな出会い-2
  トレノ(電車)
64.小さな出会い-3
  トレノ(電車)

ワインの香りが印象的な"出会い"に乾杯!
 その日イタリアのベルガモから乗ったミラノ行きの電車は、ほぼ満席状態だった。私の向い側の独り掛けの座席には、ベルガモ風景60代前半のブロンドで品の良いシニョーラ(マダム)が座っていて、私の右隣の席が空くと、おもむろに床に置いてあったワインボトルが二本入った包みを、そのイスの上に置いた。
 しばらくして電車が大きく揺れ、鈍いカチンという音。「まさか?」その予感は的中し、あたり一面にワインの香りが漂い始める。シニョーラは慌ててワインボトルが入った包みをイスからおろし、自分の足下に置いた。でも既に割れてしまったワインボトルの中味は、殆どイスの上に溢れてしまっていた。
 目の前のシニョーラが何か言いたそうな、悲しげな表情で私の方をじっと見ている。「残念ですね!」私はシニョーラに声をかけた。私が少しイタリア語を話せるのを知って気を許したのか、シニョーラは「ミラノの友達に持っていくワインだったの。この赤ワインはすごく高かったのよ」と愚痴をこぼした。BGのアルタの門
 私にも彼女の悲しい気持ちが痛い程伝わった。だから何か彼女を慰める言葉を言わなくてはと思いつつ、イタリア語のボキャブラリーが乏しい私の口から思わず出た言葉は、「残念だったけど・・すごくいい香り!」。彼女は笑いながら「そうね!でも酔っぱらっちゃうわね」。彼女の笑顔に救われた。
 そして電車が駅に停車する度に乗って来る乗客が、私の右隣の席に座ろうとすると、シニョーラは「ごめんなさい。ワインをこぼしちゃったから濡れてるの」と謝罪した。ただシニョーラが携帯電話で長電話を始めると、いつの間にか「ワインがこぼれて濡れてます」と言うのは私の役目になっていた。そしてその都度携帯電話を持ったシニョーラが「グラッツェ!」の気持ちを込めて私にウィンクをする。ミラノ迄の約一時間、BGバッサの教会私とシニョーラに奇妙な連帯感が生まれていた。私にとってワインの香りが印象的な、何とも微笑ましい出会いだった。


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