ひとり歩きも悪くない
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 1.たからもの

 2.恐るべき!
  怒りのエネルギー

 3.私に乾杯!

 4.怖いものはない!

 5.星に気合いを!

 6.焼肉の呪縛

 7.結婚までのカウント
  ダウン

 8.最後のメッセージ

 9.母か女か・・

 10.派遣だから出来たこと

 11.孤独なクリスマスに
   さようなら

 12.母との距離

 

 

 

 


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様々な理由からひとりで頑張って生きている女性達の、心のつぶやきと体験を
ショート・ショ-トのストーリーにしました。
これは実際のエピソードをもとにした、フィクションです。

ひとりで頑張ってる女(ひと)に読んでもらいたい!



結婚までのカウントダウン

 向いの家に住んでいた同い年の亜由美が、三十一歳で結婚したのが私の不幸の始まりだった。
それもよりによって相手は医者。亜由美にしてみれば玉の輿でセレブの仲間入り。おかげで私は三十九歳の今の今まで、
「山本さんちの江美ちゃんはまだ結婚しないの?」
と言われ続ける針のムシロにいる。
 私が住んでるような小さな田舎町は、思った以上にうわさ話が広がるのが早い。どこそこのおじいちゃんが池に落ちたとか、誰さんちの庭でネコが何匹子供を生んだとか。
 挨拶程度しかしない人までもが、まるで親戚でもあるかのように他人のうわさ話には詳しかったりする。娯楽の少ない街では、うわさ話が一番楽しい娯楽なのだ。
 きっと平凡な人と結婚したら絶対に言われるだろう。「四十越えてから結婚したから、あんな相手しか見つからなかったのよ」
 それだけは避けたい!
 どうして女性の場合年齢が上がるにつれ状況は悪くなりリスクは大きくなり、そしてハードルは高くなっていくのか・・。
 私は三十ニ歳の時、はじめて見合い相手に断られた。既に十五回は越える見合いを経験をした上で、見合いの場合、絶対に男からは断らないものだと確信していた。なのにあっけなく、それもその日の内に本人(私)を前にしてその相手は、
「お断わりします」
 男も四十を越えるとデリカシーがなくなるのがよくわかった。結婚出来ないのはきっと女心を知らなさ過ぎるからだ。そしてその見合い相手は、私を見た瞬間から明らかに落胆していた。
『こっちだって四十のおじさんなんか相手にしたくなかったわよ。お情けかけて見合いしたのになんでこうなるのー』
 あまりのショックでその後のことはよく覚えていない。
 冷静になって思い起こせば、見合い写真として渡したのは4年前のスナップ写真。そこにはまだほんの少しだけ恥じらいと初々しさが残る、ニ十八歳の私が笑っていた。
 実のところ、女も20代から30代になるとこんなにも変わるものかと、その時まじまじと昔の写真と生身を比べ、人知れずため息をついた。
 今、私は切実に願っている。四十歳になるまでに絶対に結婚しなければ!
 そのためには結婚相手を探し、お互いの親に挨拶をして結納。それを終え即式場選び。そしてゴールイン。おおっと、それまでに新居も探さなくちゃいけない。新婚旅行は一ヵ月前には手配しなくっちゃ。どこをどう切り詰めたらこの短気決戦に勝利できるだろう。

 残り後十一ヵ月あまり。私の『針のムシロ』脱出計画のカウントダウンが始まった。


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